春秋おじさんのブログ

中学受験の国語をオンラインで教える家庭教師です

<2022年受験体験記>Kくん

Kくんとは、5年生の6月から*1一緒にお勉強しました。
Kくんはかなりハイレベルなところでそろばんをやっていたこともあり、処理能力がとても高い一方で、一旦止まってじっくり思考することには慣れていませんでした。

そろばんでの栄光(?)があるだけに、プライドを捨てて中学受験の世界に挑戦し、不慣れなことにも取り組まなければならないのは、なかなかつらかったのではないかと察します。「いやだ、いやだ」ともがきながら*2、最後まで本当によく頑張ったと思います。

Kくんとのやりとりの振り返り

5年7月の予習シリーズ答案

まとまった字数の記述を書く気はまだ起こっていません…。

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5年12月

予習シリーズ*3の取り組む範囲を基本問題のみにしぼり、基本的な作文を練習するため、『ふくしま式「本当の国語力」が身につく問題集[小学生版ベーシック] 』に取り組みました。

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6年4月

なかなか結果が出ず、苦しい時期でした。

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6年5月(過去問演習の直しノート)

過去問を見てがぜんやる気が出たためか(?)、かなり充実した直しができるようになりました。解いたときのミスに対する反省も的確です。

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6年12月(過去問演習)

設問に対して適切な長さ(具体度)で答えを書くことができています。設問の意図をつかみそこねて失点することはありますが、十分合格点がもらえる内容です。

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お母さまの振り返り*4

この度は、第1希望の学校にご縁をいただくことができました。
A先生*5には、最後の最後まで子供の学習だけではなく、母の私自身も支えていただきました。

 

A先生には、小5の5月にママ友からの紹介でご縁をいただきました。
子どもは、国語が大嫌いで、まともに読書もしていませんでした。(競技そろばんの練習で忙しく、読書の時間がなかったのもあります)
その上、中学受験の塾にも通っていなく、細々と中学受験算数を家庭学習しておりました。
本気で受験するなら、国語の個別指導を受けたいと思っていたタイミングで友人にご紹介いただき、オンラインにて見ていただけることになりました。

先生にお願いしたことは、「効率的に勉強したい」でした。
子どもは、①国語で突き抜けることはない ②通塾生のように量をこなすことはできない ③中学受験の国語は全く勉強したことがない(小学校の授業と宿題のみ)という最低レベルの状況からのスタートでした。

先生からは、「まずは漢字を小6範囲まで終わらせましょう」とのアドバイスで、3ヵ月で小5・小6の漢字検定レベルを終わらせました。塾というペースメーカーがないため、先生がオリジナルのカリキュラムと漢字テストを作成くださいました。毎週、漢字の勉強の仕方から、トメハネまで辛抱強く?(親の私なら、切れてしまいそうな子供の字)でも、指導くださいました。毎回の授業の後の面談で、課題や家庭学習のフォロー等先生からのアドバイスがあるので、安心してお任せすることができました。できないことばかりの中で、「子供のよいところ」を探して、伸ばそうという先生の考えを強く感じました。

とはいえ、子供は、読書をほぼしていませんでしたから、最初はとてもつらかったと思います。予習シリーズの基本・応用問題を読んだときに、床に大の字になって「こんなのできない、できるわけない」と癇癪を起していたことを思い出します。答えを写していた時期もありました。(しかし、すぐに先生が気づき、答えを取り上げ対応しました)*6このような状況では、通塾してもついていけないことは明らか。先生の計画に従い、記述は空白ながらも毎週進めました。

授業のスタイルは、事前に先生の解説動画を送っていただき、そちらを見て解答し、先生に送信。授業前に採点して返却くださり、授業では「どうしてそうなるのか」「なぜ間違ったのか」をやり取りの中で子供に指導くださいました。
また、iPadのGoodnotesというアプリを使い、先生に答案を事前提出。先生は授業時間外でも〇付けやコメントを残してくださいます。そのコメントを見て、解き直しノートを作成し、またGoodnotes経由で送信する。授業は週1回でしたが、毎日、国語に触れるようなフォローをしてくださいました。オンラインだからこそできる、サポートだったと思います。
上記の日々のフォローに加えて、Monoxerというアプリで暗記学習もサポートしてくださり、塾に行かずとも塾同等の勉強ができました。

また、子どもは、読解問題を解く時、ほとんど線を引きません。選択肢を選ぶ時も何も引かずに解くスタイルでほぼ問題用紙も設問も真っ白。算数も手作業は少ないですし、頭の中で動かしてメモ書き程度で解いておりました。なぜ線引きをしないのかも理由がわからず、「国語で線引きをせずに解くことは問題ではないか」と心配になってきました。先生に、「線引きは必要ないのでしょうか」と授業後の面談で相談させていただいたところ、「志望校、K君の特徴を考えると、大丈夫だと思います。成績が上がらなければ、指導していきます」とアドバイスいただきました。*7

小5の秋、国語の偏差値は36(四谷大塚)でしたが、小6の6月頃から急激に上がり、夏ごろには偏差値も55前後になりました。
とうとう、過去問演習を開始する夏休みになり、第1志望(Y55~60の学校)も決まり過去問に取り組んだところ、記述がほとんど書けません。随筆など文章が難しめの長文が出題される学校だったため、「こんなのできない、できるわけない」と子供の癇癪?が再発いたしました。
しかし、「課題は何か」先生は見抜いており、取り組みやすい学校の過去問も混ぜながら、第1志望は15年分以上、過去問に取り組みました。
親の私が、子どもの解き直しノートを作成する過程を聞いて驚いたのは、「過去問の解答だけあればよい、解説はいらない」と子供が言うのです。先生から、「解答を見て、なぜ自分が間違えたのか、自分で考えて解き直しノートを作る」指導を受けており、苦しみながらも取り組み、その解き直しノートに先生からたくさんのコメントをいただき、冬前には精度の高い解き直しノートを作成することができるようになっていました。

12月には、先生からも
「国語で大きな失敗をすることはないレベルに仕上がってきています」
「受験に必要な解法は頭の中に入っています」
と言っていただき、解法に関しては授業の中で先生がメンテナンスしてくださっていました。
直前期に、先生には関係ないことでトラブルが起きたのですが、その時も先生がご意見とアドバイスくださり、なんとか乗り越えられました。

第1志望の前日、先生が応援にかけつけてくださり、大好物のイチゴをいただいた子供は、緊張もせず受験し、当初の想定通り「国語で大きな失敗をせず」ご縁をいただくことができました。半年前、記述はまともに書けませんでしたが、本番の受験では「記述は全て埋めた」と、子どもが話してくれて、成長したなあと感じました。

わが家では、長男も塾なし中学受験しており、何人もの家庭教師の先生にお世話になっております。いろいろな先生がいらっしゃる中で、A先生は「ここまで子供のことを真剣に考えて指導くださるのか」と感激しております。
また、国語で悩まれているママ友に先生をご紹介したのですが、みなさんから「本当に素晴らしい先生で、ご紹介していただき感謝します」とお礼のお返事をいただきます。(盛ってません!)
先生はご謙遜されるのですが、少ない演習量(過去問週2本のみ)にもかかわらず、解き直しの質を高めてくださったので、第1志望合格にご縁をいただけたと感じております。

受験後、先生にオンラインで合格のご報告させていただいた際、「せっかく身に着けた読解技術をどうしたら維持できますでしょうか?」とお伺いしたところ、
「忘れて大丈夫です。進学先の国語の授業を、受験の読解技術を抜きにして大いに楽しんでください。大学受験でも使えるように指導してきましたから、高校生になり、大学受験を見据えて演習を始めれば受験技術は思い出せます」とお話しくださって、びっくりしました。先生の指導を通して、「国語の解き直しノートの作り方、分析の仕方」を身に着けたことは、宝物だと思います。
この振り返りを書くにあたり、子どもが「最初は、先生の授業がいやだったけど、今まで出会った先生(学校の先生や家庭教師の先生)の中で、一番面白くて、力もついていい先生だったなあ」とボソッとつぶやいておりました。*8また、受験後、長い日は1日10時間読書するようになりました。受験勉強を通して、たくさんの文章に触れ、ついに?読書好きになったようです。*9

塾なし受験で、大変なケースのご指導だったのではないか?と思います。本当にありがとうございました。

【追伸】
先生へのメッセージの提出が遅れ、申し訳ございませんでした。*10
書いたものを持ってきた子どもは、「この文章は、俺の集大成。*11まずは、最初に俺の考えを書き、途中で理由を説明して、最後に締めの考えを書いてるんだよ。だけど、先生が良い先生っていうことは、あえて書いてあげない」と、相変わらずひねくれながら、ドヤ顔で語っておりました。

Kくんからのメッセージ

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Kくん、こちらこそ2年間ありがとうございました。
去年の2~4月くらいが一番苦しかったですね。宿題はやりたくないし、やらなかったり手を抜いたりしたら必ず先生に説教されるしで、Kくんも大変だったと思います。でも、あの苦しい時期も、たとえ少しずつであったとしても、勉強しつづけたから、今のKくんの実力があることを忘れないでね。
あの時期があったからこそ、その後の過去問演習も楽しくできたんだと先生は思っています(ママにはさんざんできないとか、やりたくないとか言っていたらしいけれど。でも、授業はまあまあ楽しかったでしょう?)。

これからも勉強できない、やりたくない、と思うことはいっぱいあると思いますけれど(たぶん「いっぱい」あるよ笑)、苦しいときほど伸びどきなので、あきらめないで、ゼロにしないで、何かしら続けてみてください。
Kくんはそれができるし、そうやって継続したことがきっとKくんの未来につながると思います。

*1:緊急事態宣言で私自身、教師としてのあり方を特に考えさせられた時期でした。家庭教師としての実績が全くない中で、Kくんを預けてくださったお母さまには心から感謝しております。

*2:もっとも、私の前では「いやだ、いやだ」と言っている姿を見せることはほぼありませんでした。ただし、Kくんは私に見せていないつもりでも、その週の成果を見れば、私にはすぐにバレてしまうので「ほぼ」です笑

*3:この時期、Kくんは解答を写しているのではないかと思われたのですが、お母さまとご相談し、すぐに対策を講じることができました。お母さまとの協力体制がしっかりできたことで、この後の学習(とくに6年の過去問演習)でズルズルと解答を写してしまう、という悲惨な状況を回避できただけでなく、さらに、後述のように、かなり学習効果の高い復習を行うことできました。このときにお母さまとしっかりお話ができて、本当に良かったと感じています。

*4:なるべくお母さまに書いていただいたまま掲載し、脚注のみ春秋おじさんが書いております。

*5:お母さまは私の本名で書いてくださったのですが、ブログ記事では匿名にしたいと思います。

*6:お子さんが答えを写す(ズルをする)ことへの考え方や対処方法は別記事に書きます。

*7:別に線を引かなくても解けてしまうため、一般的にほとんどの子どもは線を引きたがりません(私もそうでした)。頭の中で整理できていると判断した場合、私は文章に線引きすることを強制はしません。
ただし、ミスを防ぐことを考えると、線引きや印づけは必ず行うべきです。私も教師になってからは必ず線を引くようになりました(生徒の前ではミスが許されないので。これは言い換えると、大学受験(センター試験や東大)もほぼ印づけはしなかった、ということでもあります。もちろん(?)満点ではありませんでしたが…。)。一部の難関校ではミスが許されないため、そういった学校の受験生には義務にする場合もあるかもしれませんが、中学受験の大半のケースでは無理にやらせる必要はない、というのが私の意見です。
なんにせよ、子どもそれぞれの個性に合った、その子が快適だと感じられる解き方が一番だと思います。

*8:Kくん、ありがとうございます😂

*9:このことはお母さまの振り返りを拝見して初めて知って、さすがに「10時間」には驚きました。Kくんは文章内容の解説をいつも楽しそうに聞いてくださっていたので、読書好きになってくださったのはそこまで大きな驚きではありませんが、まさかこんなにすぐに行動が変化するとは思っていませんでした。

*10:「遅れ」だなんて、全くそんなことはないので、気になさらないでください。

*11:Kくん、集大成にするには、もうちょっと見直しが必要だったかな。「助けていたいて」ですよね^^;
でも、A→B→A’をちゃんと身につけてくれたことは、とてもうれしいです。