春秋おじさんのブログ

中学受験の国語をオンラインで教える家庭教師です

<2022年受験体験記>Tくん

Tくんとは6年の2月から一緒にお勉強しました。
塾に通いながら、私の授業も併用して受ける、という形でした。

Tくんは私とお勉強する前から、語い力もあり、文章も相当読めていたのですが、相手(出題者・採点者)のためにがまんする*1ことが苦手で、実力がなかなかペーパーテストの点数に結びついていない、というのが課題でした。

Tくんとのやりとりの振り返り

6年4月漢字

「耳」の書き方など、頭では分かっていても、手がくせを覚えてしまっていて、同じ間違いをくり返す、ということが多かったです(最初よりはかなり減ったものの、12月くらいまでこうしたミスはなくなりませんでした)。
ミスそのものよりも、Tくん本人のイライラが過度なストレスになっていないかが心配でした。また、同じミスが起こっている答案を提出することが、私に申し訳ないとお母さまがおっしゃってくださるのも、心労をおかけしているのではないかと心配でした(どんな答案も、申し訳ないだなんて思わず、いくらでも提出してください)。

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6年4月週テスト

この前の大問3はそこそこ点数が取れていたのですが、この大問4は解く時間が十分取れず、なかなか厳しい結果に。
「『この問題は解ける』と一度思ってしまうと、解けないまま先に行くのは気持ちが悪く、時間がかかってしまう」、「一度正解だと思ってしまうと、他の選択肢や抜き出し部分を全く検討しない(ためにバツになる)」など、まずはTくんの頭の中で起こっていることを、一緒に整理することから始めました。

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6年4月予習シリーズ答案

文章内容はしっかり理解できている(ので、記号はすべて正解)のですが、相手に伝わるだけ十分に具体的な答案を書くことに苦労しました。とくに、解答欄が大きい問題(長い文章を書くことが求められる問題)は「こんなに書けない」という思いが先に湧いてしまい、難しいようでした。
授業では、書くべきポイントが必ず存在していて、それは本文から読み取れるということを徹底して説明しました。

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6年12月過去問演習

記号問題の精度が格段に上がりました(ほぼ間違いません)。
記述も「短く書きたい」と思うのは以前と同じですが、ポイント(要点)を意識できるようになりました。また、この学校にはありませんが、長い自由作文も指定字数に合わせて書けるようになりました。この一年で本当にがまん強くなったと思います。

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お母さまの振り返り*2

息子は好き嫌いがはっきりしており、好きな科目は積極的に取り組みますが、苦手な科目は極力見ないようにするような子です。 国語は特に苦手意識があり、塾のテストでも国語は悩みの種でした。
受験まであと1年となったとき、そんな国語をどうにかしたい、せめて足をひっぱらない程度にしたいと思い、先生にご指導をお願いいたしました。

 

そんな息子に対し、先生はまず文章をしっかりと読むことから始めてくださいました。
学校の宿題のように「この文章を音読してね」と言っただけでは、きっと息子はやらない(できない)だろうと思われたのだと思います。 先生が実際に文章を音読してくださって、その音源に続いて本人も音読する、といったことから始めました。*3

本文をきちんと読めていない(勝手に読み飛ばしたり、読まなかったりします)息子にとって、この音読によって
・どれくらいの速さで
・どういったリズムで
問題文を読むのか、を体感できたような気がします。
この練習があったからこそ、過去問を取り組むときもある程度の速さで読むことができるようになったのだと思います。
なお、手を抜く&サボることが得意な息子ですので、毎日ちゃんと音読ができていたわけではありません。 それでも先生は見捨てずに見守ってくださいました。(子供にあわせて、いろいろと工夫してくださっている先生の苦労を思うと親としては、本当に感謝しかありませんでした)*4

また漢字練習なども、都度添削してくださいましたし、語彙については暗記しやすいツールを提供してくださいました。 語彙トレーニングをサボっていた時は本人にメッセージを送っていただいたり・・・と、本当に細かいところまでサポートして いただいたおかげで、息子本人も少しづつではありますが、語彙や漢字に取り組むようになりました。

上記のように、授業以外の日々のトレーニングに関して様々な取り組みをしてくださったことで、国語の基礎力が上がってきたように思います。 塾の授業や先生のご指導の時間はもちろん大切ではありますが、このような毎日の積み重ねが一番国語力向上の効果をもたらしたのかも、と今では思っています。

 

さて、肝心の授業についてですが、指導内容についてはそれぞれの子供にあわせて、必要なものを必要なだけ実施、というスタイルでした。 うちの息子は週1回、塾のテキストの内容とテストの振り返りをお願いしました。 また、秋からは過去問の指導もお願いしました。
塾のテキストやテストについては授業前に解説動画を配信してくださっていたおかげで、本人が本当に理解できないところを授業で聞くことができたように思います。
また、先生が実際に問題を解いた形跡(本文に、ポイントとなるところをマークしたものを事前に見ることができます*5)を確認することで、 どこがポイントとなっているのか、が本人はわかりやすかったようです。*6

 

このように先生は、根気強く様々なアプローチで、国語の軸になるものを息子に伝えてくださいました。 うちの息子は素直ではありませんし、教えやすい子ではなかったと思います。 いろいろとご迷惑をおかけすることも多かったのですが、先生は投げ出すこともなく、丁寧に対応してくださいました。
1年前、国語がダントツで足をひっぱっていたのですが、受験前には他の教科と同程度の偏差値がコンスタントにとれるようになっていました。 先生にご指導いただいたことで、国語に関する心配が減ったことはもちろんですが、
・国語に対する苦手意識がなくなってきたこと
・以前は取り組む前から投げ出していたような、記述問題に対してもしっかり取り組む姿勢を持てるようになったこと
が、なにより一番の収穫だったと思います。

 

f:id:shj043:20220209072608j:plainTくんからの応援メッセージ

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Tくん、合格おめでとうございます。
Tくんが「できるようになった」と感じてくれたことが、先生は一番うれしいです。
中学・高校生活では、思いっ切り好きなことに打ち込んでください。あと、お母さんばっかりに頼りすぎないでね笑。少しずつで良いので、いろんな人に頼れるようになっていきましょうね。

*1:o 設問文をしっかり読み切って、設問の意図を理解してから答える(x 最後まで読まずに設問の内容をかん違いしたまま答える)、
o 選択肢を最後まで読む(x アやイに書かれた引っかけにだまされたまま、正解であるウやエを読まないためバツになる)、
o 記述は要素の組み立てを考えてから書く(x とりあえず思いついたまま書き出してしまって、要素が一つ・二つしか入らない答えになる)、など。

*2:なるべくお母さまに書いていただいたまま掲載し、脚注のみ春秋おじさんが書いております。

*3:予習シリーズや新書を音読していただきました。新書を音読した際のサンプルはこちら。ゆっくり音読した音源と、速めの音源を用意して練習しました。
今(合格後に)思い出しましたが、確かにTくんは、当初は速めの音源を使ったときに上手く読めていませんでした。お母さまが書いてくださったとおり、最初に読むイメージをつかめたことは、後々に良い影響を及ぼしたと思います。

*4:どんな子も見捨てるだなんてことはありえません^^;

*5:「線引き教材」と呼んでいる教材です。サンプルはこちら

*6:Tくんは授業前に予習して(塾の授業をしっかり理解して)、質問・確認すべきポイントを考えてくださっていたので、授業時間を短く設定することができました(60分、日によっては30分(!))。
授業時間を短くすることで、塾に通っているお子さんでも、負担が少ない形で続けていただくことができます。ただ、ほとんどのお子さんにとって、こうした予習をすることは難しいです。授業中に私から質問をして考えていただくケースの方が多いです。そのため、通常の授業時間は90分を想定しています。